ジャンパー膝の治療とリハビリ

ジャンパー膝とは、その名の通り、ジャンプを多くするスポーツで、膝の伸展機構が障害を受けて発生します。バスケットボールやバレーボールなどの競技者がなってしまう可能性が多いと言われています。

右膝をみていただくと大腿直筋があります。大腿直筋の腱が膝蓋骨と繋がっていて、膝蓋骨を経由して膝蓋靱帯となって、下腿の脛骨粗面に付着します。

左膝の方は靱帯を消してあります。下にある滑液泡や黄色く塗った脂肪組織がみえます。これらはクッションや摩擦を減らすために存在しています。

拡大して横から見るとこういうようになっています。筋肉の端の部分は、強い繊維を多く含み、白く光って見える腱になっていて、骨の表面をおおう骨膜にしっかりと結び付いています。 上の図の赤い丸のあたりです。
この強い結びつきによって、筋肉の縮む力を骨に伝え、骨をてこのように動かすことができます。 

大腿直筋が収縮すると、膝蓋骨が滑車のように支点になり、さらに強力なテコを効かせて、下の頚骨を引っ張り上げるので膝が簡単に伸展するのですが、その付着部にはかなりの引っ張る力がかかります。

そして膝蓋靱帯は、膝を伸展させるだけでなく、伸びきりすぎて関節が前にずれないように止める役割もしているのです。当然ジャンプの着地はより仕事をしなくてはいけません。

フェイズ状態症状罹患期間
1腱炎部分損傷した腱組織の炎症短期間
2腱鞘炎表層、腱鞘の炎症長期間
3腱症腱実質の変性長時間

組織は筋肉→腱(靱帯)→骨の順で固くなります。

腱の構成成分はほぼ固いコラーゲン繊維です。そこにエラスチンという伸縮性のある繊維や、水分を保持する細胞やミネラルなどがあり、わずかに血管や神経も通っています。

腱実質には痛みを感じる神経はあまりなく、痛みを感じるのは、血管や神経が分布している、腱の周囲の滑液包や関節包や脂肪組織が伸ばされたり、ねじられたり、圧迫されてしまうためだと言われています。

これらはセンサーの役目もしていて、関節を守っています。エンテシスオーガンコンセプトと言います。これらも治療対象になります。

上記の表のフェイズ1の腱炎は比較的表層に近いところ、エンテシスオーガンコンセプトも含んで考えます。

フェイズ2の腱鞘というのは、腱が骨に近いところを通過している場所にあります。腱が擦れないように守ったり、向きを変えるのをサポートしたりしています。少し深部になります。体外衝撃波で治療することが多い場所になります。

フェイズ3は腱鞘に守られている腱実質の変性なので、より深部まで障害されてしまっているという事になります。変性というのは、元々の腱ではなく他のもの(軟骨のようなもの)に置き換わってしまっているという意味なので、手術していただく可能性も考えます。

実際に多くみられるジャンパー膝の症状は以下になります。

圧痛動作時痛所見
膝蓋腱表層炎屈曲深屈曲大腿直筋の短縮、緊張
膝蓋下脂肪体炎伸展強制伸展伸展制限(脂肪体が大腿骨と脛骨の間に挟み込まれる)
最も多い
膝蓋腱深層部分断裂腱中央
〜内側
60〜80度
屈曲痛
大腿直筋の緊張なし。
治療は長期になる、手術もあり得る

先の重症度で分類すると、膝蓋腱表層炎と膝蓋脂肪体炎は、比較的治りやすいフェイズ1に当たると思います。

膝蓋腱深部部分断裂はステージ3に当たると思います。

しかしジャンパー膝は1回ジャンプしただけで、いきなりフェイズ3になる事はありません。ここで書いている変性と言うのは、無理をして競技を行なってしまい、繰り返しのジャンプ(負荷)で少しずつ障害され、戻らなくなってしまうオーバーユースが原因となります。(全く動かさなくても変性は起こります)

次回にトレーニングに関して書きます。

ジャンパー膝の痛みがある方は吉祥寺はたいち整骨院へ

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