股関節を庇う姿勢

この患者さんが、問診で最初におっしゃったのは、脊柱管狭窄症であるとの事でした。

2ヶ月前から右の親指に力を入れて、押す動作で痛むとおっしゃっていました。
整形外科通われて、現在もリハビリなどをなさっているそうですが、腰の動きをいただくと、そらす事はあまりできないですが、痛そうな感じではありませんでした。脊柱管狭窄症の代表的な症状とも言える、長く歩くと腰や足が痛み、休むと回復するといったようなこともないとの事でした。

整形外科に3〜4年前から通われていると言うのは、狭窄症ではかなり長いと思いました。詳しくお聞きすると、もともと股関節の形成不全があり、変形性股関節症になっていると診断されているそうです。

股関節は球関節で、ボール状の大腿骨頭が、骨盤の寛骨臼と言うソケットにはまっていて、様々な方向への動きと、体重を支える安定も求められます。形成不全ではその被りがもともと浅いと言うことになります。

正常な股関節
骨頭の被りが浅い

さらに関節の縁に「関節唇」や「関節包」と言う適合性を強める組織があります。例えるならトイレが詰まったときにすっぽんとやる道具のように、大腿骨頭を寛骨臼に引き込んでいます。

関節唇
関節包

大腿骨頭の被りが浅いと、関節唇との衝突が頻繁に起こるようになります。そのことによりまず関節唇損傷が起こることが多いです。

その後変形性関節へと移行します。

この患者さんは、ゆくゆくは人工関節置換術の手術になることも考慮に入れているようでした。

今はその時期をなるべく後にするため、色々と保存療法を行った方が良い時期だと思います。

1.運動2.免荷3.患部周辺のリラクゼーションなどが疼痛緩和や進行を遅らせる可能性が高いと証明されています。

運動は主に股関節を外に開く、中殿筋のトレーニングです。横向きに寝て天井に向かって足を上げるだけなのですが、斜め前に向かって上げてしまったり、斜め後ろに上げてしまうと、他の筋肉を使ってしまうので、意外とむずかしいです。

https://youtube.com/clip/UgkxUfXmfkdFu0KR5EuVgDPSMj8VGYeokdes

免荷とは、体重を増やさない、杖をつくなどです。

股関節が被りが浅いと股関節を折り曲げて、腰を逸して上半身を立てる姿勢になってしまうので、鼠蹊部周りの筋膜リリースを行いました。股関節周辺の循環の改善や、圧迫力を減らすために、筋と筋の隙間を開けることが目的です。更に腰から上の背中や肩のあたりも筋肉が硬く、動きが悪くなっておりましたので、その辺もほぐさせていただきました。

ただし無理に姿勢を変えるような、矯正はしませんでした。

患者さんのご希望は、まずは親指の腱鞘炎をどうにかしたいと言うことでしたので、そちらは体外衝撃波治療をさせていただきました。股関節は長期戦になると思いますので、まずは腱鞘炎を全力で診させていただきます。

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