四十肩に対するインナーマッスル治療

長年バトミントンをされてきた患者さんです。練習や試合にかなりの頻度で参加されているのですが、最近は利き手ではない方の方が上がらなくなってしまい、特に横からあげようとすると90度くらいでガチッと止まってしまいます。

特に変わった事はしておらず、ここまで手が上がらなくなってしまったのは何故なのか?理由がわかりません。それと何故、利き手と逆なのか?との事でした。

肩が、90度以上、上がらないところから、体を逆に傾けて無理に上げていらっしゃる姿を見て、棘上筋の腱板損傷という、四十肩の重いやつかと思いましたが、その疑いで整形外科で診てもらったところ、筋肉自体の損傷は見られないとの事でした。

腱板とは肩のインナーマッスルで、回旋筋腱板といいます。上腕骨骨頭いろいろな方角から包んで言って、骨頭を関節窩(受け)の方に引きつけています。この働きがないと、もう1枚上にあるアウターマッスルの三角筋が収縮して肩を動かすときに関節が離れていってしまいます。
特に棘上筋は腕の重みを常に受けているのと骨の狭いトンネルの中を通っているので、擦り切れて損傷しやすいと言われています。

その患者さんで気になるのは、肩甲骨の位置が悪いと言うことでした。肩がすくんで持ち上がったようになっていて、背骨に対して肩甲骨の下が開いてハの字になっていました。

肩関節は、上腕骨と肩甲骨の関節です。しかし肩甲骨と肋骨の間にも機能的な関節に似た構造が存在します。肩甲骨は肋骨に沿ってすべるように動いて、初めて肩を上げる最終可動域まで動く事ができます。

肩甲骨周りにもインナーマッスルがあり、肩のインナーマッスル(腱板)と同じ深さで筋膜によって繋がっていて、密接に影響しています。腱板筋を損傷していなくても、受けである肩甲骨の場所が悪ければ、当然機能障害は起こってくるはずです。

 

この患者さんはこの深さの筋膜がすごく硬くて、滑走性が見られませんでした。筋膜は同じ深さで体を全体に広がっています。それが体の歪みとして、左右のバランスを崩していたりします。

バトミントンで利き手側アウターマッスルを使いすぎて、インナーが弱ってきて、筋膜が張り付いてさらにそれが全身へから反対側へと広がって…と考えることもできます。

筋膜リリースで、摩擦の熱を与え、繊維の方向を合わせていくと、どんどん体があったまっていくのがわかりました。これは局部の血流が良くなってきている証拠です。ご本人も指先があったかくなってきたとおっしゃってました。

深部の温度が40度近くまで上がると、タンパク質の1部が変質したり、固まっていたヒアルロン酸が溶け出したりしてきて、くっついていたものが動き出します。元はゴリゴリした感触があった組織がだんだんとなめらかになっていくのがわかります。そうすると、肩甲骨を押さえている手の方にも位置が変わってきているのが伝わってきました。

終わった後は腕の上がりがだいぶ良くなりました。
なかなか改善しない四十肩の人は、インナーマッスルの治療、とりわけ筋膜の固着を剥がす事が必要かもしれません。

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