
料理人の患者さんで、左足首〜左膝〜左股関節までの痛みを訴えていらっしゃいました。足首の外側が赤黒く腫れており、血腫のように見えます。血管もかなり浮き出ており、循環障害があるのがわかります。
まず先に疑ったのは、蜂窩織炎でした。既往歴もありとのことで、皮膚科の受診もご提案しました。(後日診療を受けて、陰性でした)

立ち仕事が長くなると、度々このような状態になってしまうそうです。まず筋膜の配列を見ると、かなりねじれています。それに伴って骨が引っ張られてしまい、関節の変形も出ていると思いました。
捩れの始まりは、内側の土踏まずのアーチがなくなっていて、くるぶしの間にはまっている距骨と言う骨が内側に落っこちてきていました。


捻挫癖もあるそうでしたが、もともと慢性的にねじれているので、今回のようになってしまうこともこれまでもあったそうです。
足首がしっかりしていなくて起こる疾患に、CAl: Chronic Ankle Instability (慢性足関節不安定症)というものがあります。
足関節捻挫が十分に治療せず、慢性に足関節の不安定性や不安定感が残存した状態になってしまっています。 足関節捻挫の既往があるうち46%もの人が慢性足関節不安定症に移行していたとされており、日本では足関節捻挫が毎日約1万人発生していると試算されることから、非常に多くの人が罹患していると考えられます。
慢性足関節不安定症に対する推奨度の高い治療は
①「バランスや姿勢の静止トレーニング」
②「固有感覚訓練や神経筋協調性訓練など運動療法」
③「徒手療法として関節モビライゼーション」
④「患者の価値観と目標、運動療法と徒手療法の組み合わせなど、集学的治療を行ってもよい」
とされています。
③の関節モビライゼーションの一種として、骨の位置を元に戻すように筋膜を調整して、最後はテーピングで固定し安定しましたが、一時しのぎになりますので、①②の運動などが必要となってきます。

そこでインソールと靴を使って良い足の状態を保ってもらうようアドバイスいたしました。
実は足周りの道具を変えることで①②の目的であるバランスや神経の改善はみられます。
ポイントはインソールだけを変えても、靴が良い靴でないとポテンシャルは最大限に発揮されません。

マリアージュと言った感じでしょうか?
当院では良い靴の情報をお教えするとともに、試し履きの靴も用意しております。(こちらは販売はしておりません)
立ち仕事による疲労軽減と循環の改善のお手伝いをさせていただきました。