力が抜けてしまう腰痛(訪問整体)
内臓系の疾患をお持ちで入退院をされている患者様の、ご自宅へ引き続き訪問施術にうかがわせていただいております。
前回のブログでは、内臓のどこを治療されているのかをお聞きできておらず、治療を重ねていくうちに、わかったことが、肺がんで、左の肺の下部をオペで切除していると言うことでした。そして今は抗がん剤治療をなさっています。
痛みを訴えていらっしゃる場所は、胸椎と腰椎の間です。姿勢はこの部分でくの字に降り曲がっており、左の骨盤が回旋(後ろに引けている)状態です。
腰痛の鑑別テストから、筋筋膜性腰痛だと思い、アウターマッスルを緩めて、インナーマッスルを鍛えるトレーニングを行ってきましたが、なかなか改善が見られず、いつも上記のような姿勢に戻ってしまっておりました。

肺が呼吸を行う臓器だと言うのは、誰でもご存知だと思いますが、実際どういうメカニズムになっているのかご存知でしょうか?
肺はいつも内側に潰れるようとする陰圧な状態になっています。

つぶれている状態が陰圧なので、この手を解放すると、上の口から空気が入ってきます。人間で言うと口や鼻の部分です。

空気が入ってくると、肺はこのぐらいに膨らみます。

それでは陰圧を解除して、肺を膨らませる力はどうやって生まれるのでしょうか?当然筋肉が行うのですが、1番よく働くのは横隔膜です。横隔膜は肋骨の底面にテントの屋根のように張っていて、それが肺と下の内臓を分けています。横隔膜が内蔵側に下がることで、肺に空気が入ってきます。
次に働くのが肋間筋です。イメージはスペアリブの所の筋肉ですね。肋骨を引き上げて、胸郭を広げます。

上の図の赤い線が引いてある部分は、肺を包んでいる胸膜です。壁側胸膜(肋骨胸膜)と書いてありますが、肋骨と肋間筋の内側と、つながっています。(縦隔胸膜) は心膜とつながっています。(横隔胸膜) は横隔膜とつながっています。
水色で囲ってある部分を、切除されており、ここの部分は死腔として膨らむことができません。膜がくっついてしまって、左上半身が前傾し、それをカバーするために受け腰、左回旋をしてしまっているのと思われます。左肺下部が膨らまないのは、腹式呼吸をしてもらうとよくわかりました。
今日は縦隔や、心膜、横隔膜、肋間筋などの筋膜をリリースしました。背中の痛みを訴えていましたが、ほぼお腹側の施術で、腰痛がなくなり、脊柱の動きが良くなりました。
その後にインナーマッスルのトレーニングを行うと、いつもより良い姿勢で、回数も多くできました。少しずつですが痛みをとりながら、体幹筋の上積みをしていっていると言う状態です。